「素直」は、人間の美徳の一つです。
人のいうことを素直に聞くこと。
自分の気持ちに素直になること。
人と深く付き合う上で、あらゆる「素直さ」はプラスに働きます。
素直な人を見ると、相手は優しくなります。
また自分自身素直であることで、気持ちよく暮らすことができるでしょう。
しかし、「素直であること」が分からなくなることはありませんか?
そして、どうすれば「素直」になれて、それを続けることができるのでしょうか。
素直さとは何か

「素直」には様々な面があります。
どういったものがあるのか、見ていきましょう。
受け入れる素直さ

モノや言葉など形を問わず、何かを人から差し出されたときにありがたく受け取る、そんな素直さがあります。
勿論、プレゼントなどの良いものだけに限りません。
叱責の言葉や、自分のミスなども含まれます。
人はどうしても、過剰に遠慮や謙遜をしてしまいがちです。
叱られたり、ミスをしたりすると、自分自身を卑下してしまうでしょう。
良いことも悪いことも、全てひっくるめて受け入れる。
そんな素直さもあるのです。
表に出す素直さ

自分の感情を率直に表すことも、素直さの一つです。
人は日々、色々な感情を抱いています。
嬉しい、楽しい、悲しい、怖い、腹立たしい。
こういった感情を表にだすことは、大切なことでもあります。
しかし、注意しなければならないこともあります。
人間には、嫉妬心やひねくれた心、というものが存在します。
例えば、感謝の気持ちを伝えたいだけなのに、皮肉めいた一言を放ってしまった経験はありませんか。
本心に対する素直さ

本音はしたくないのに、状況に流されて断ることができなかった。
それとは逆に、本当は自分がしたいけれど、それをアピールすることができなかった。
そんな経験をしたことのある人は、少なくないと思います。
周囲の目や、自分の思い込み、他人の思い込み。
そういったものが、自分の「したい、したくない」という意思表示にブレーキをかけています。
他人に対する素直さ

自分の気持ちに素直でいることも大切ですが、相手に対する素直さもまた、大事なものです。
相手に対する素直さとは、相手の言葉を受け入れ、自分の気持ちを伝える努力を欠かさないことです。
何か言われたときに、ひねくれることなく受け止める素直さ。
「ありがとう」「ごめんなさい」という気持ちを、そのまま伝える素直さです。
場合によっては、真っ向から反論することも必要かもしれません。
お互いに気持ちを伝えあうこと、反論し合うことは、ある程度の信頼関係がなくてはできないことです。
そしてそれは、まず自分が素直にならなくてはいけません。
困ったときには、相手が手を差し伸べてくれるでしょう。
素直になれない心理とは?

「素直」を理解することは、それほど難しいものではありません。
しかし、それを実行するとなると、そうそう簡単なことではないでしょう。
私達はなぜ、素直でいることができないのでしょうか。
その理由を考えていきましょう。
過去が原因

自分の気持ちを素直に表して、何かイヤな目にあったことはありませんか?
例えば、自分がしようとしたことを否定されたり、本音を伝えた結果、受け入れられなかったりなどです。
「素直でいると、辛くなる」といった記憶が染みついてしまうと、その記憶に囚われてしまいます。
素直でいることよりも、自分の気持ちを出さない方が良いと考えてしまうのです。
悪いモノと思っている

自分の感情に正直であるということは、本来悪いことではありません。
ときには、人の反発に合うこともあるでしょう。
怒られる・嫌われるといった状態です。
これが続くと、いつしか「素直さ」は悪だと思い込んでしまうでしょう。
そして、素直ではいられなくなるのです。
例え怒られたとしても、その人の価値がなくなるわけではありませんし、生き方を否定された訳ではありません。
しかし、そこまで考える余裕は無くなり、自分や周囲を否定し続けてしまいます。
自分から殻に閉じこもってしまうのです。
辛い思いを繰り返すと思っている

素直でいると、どうしても辛い思いをする場面が増えます。
相手に気持ちを受け入れてもらえない可能性が、大いにあり得るからです。
辛い思いは、できれば繰り返したくありません。
否定が怖い

誰でも、怒られたり否定されたりするのは嫌なものです。
怖い、悲しいといった気持ちは、二度と味わいたくないでしょう。
しかし、「怖い」「悲しい」などの気持ちになることを恐れていると、行動に現れてしまうことがあります。
相手の表情を常に伺って、おどおどしてしまうのです。
これでは、相手が好ましく思うはずがありません。
過去の自分を否定することになる

例えば、今までの嫌な経験の原因が自分にあったとしたらどうでしょう。
相手が悪いと思っていれば、自分自身を責めずに済みます。
しかし、原因が自分にあると気付いたとき、苦しみは大きくなってしまいます。
素直でいるということは、自分の間違いすらも認めることです。
また、相手の良い点を認めることでもあります。
気持ちを新たにして、素直であろうとすると、過去の傷に塩を塗り込む覚悟が必要です。
また、素直でいることで良い思いをしたならば、以前の自分を全否定してしまう気持ちにもなりかねません。
こうした問題に直面することが怖く、素直に生きられない人もいるのです。
素直になることで得るものとは?

気づきがある

素直でないということは、自分の目を曇らせてしまいます。
相手の言うことや行動などを、全て斜に構えて見てしまうからです。
相手の真意が温かい気持ちであったとしても、それに気づくことができません。
しかし素直でいれば、真正面から物事を見られるようになります。
相手の言葉・行動に対する受け止め方が変わり、自分の行動、言葉にも変化が訪れます。
批判がどうでもよくなる

素直になることで、他人からの批判にさらされることはあり得ます。
また、嘲笑されることもあるかもしれません。
しかし素直に生きていると、多少の批判や嘲笑をはねのけられるようになります。
人が何を言おうが、素直で生きるのが一番だと思えるのです。
相手も素直になる

人に対して邪険にしていれば、相手からもそれなりの対応しかしてもらえません。
人に親切にすれば、相手からも親切にしてもらえることが多いでしょう。
素直さもまた、同じです。
自分が素直でいると、相手も素直に対応してくれます。
素直に評価を受け、ときには、率直に怒りをぶつけられるかもしれません。
したいことに正直であることで、物事の進み具合も変わってきます。
明るい将来に近づく

素直になると、周囲と摩擦が起こりやすくなってしまいます。
ぶつかって、悲しく思ってもなお、素直に生きることは難しいかもしれません。
しかし、自分の気持ちに背いて生きるのもまた、苦しい道です。
素直さに価値を見出せること。
今までの自分ではなく、「素直な自分」を選び取れること。
素直に生きることで、明るい将来に近づいていけるのです。
素直さじゃない自分が愚かであると気づく

素直に生きようと決心し、実行していくと、今までの自分を省みることができるようになります。
救いの手を拒否したことや、ひねくれた考え方をしていたことなどが、ありありと理解できるようになるのです。
そんな中で恥ずかしく思い、居ても立っても居られなくなるかもしれません。
しかし、過去の自分を理解することは重要です。
理解し、反省することで、次に繋げることができるのです。
素直になる方法とは?

今までの自分を変えるには、勇気を出さなければなりません。
しかし、一度勇気を奮って行動を起こしてしまえば、今までとは違った観点で世界を見ることができます。
過去はもう関係ない

例えば怒られた記憶や、失敗した記憶など。
そういったマイナスな記憶に伴う感情は、素直になれない原因の一つです。
記憶を無くすことはできないでしょうが、感情だけでも水に流してしまいましょう。
過去に足止めされていては、前に進むことができないのです。
当時泣けなかった分を、今、改めて泣いてしまいましょう。
泣くことでストレスは緩和されます。
声に出すことで、モヤモヤしていたものが、どんどん晴れていきます。
理屈で考えず、当時の感情を吐き出していきましょう。
そして、自分は「素直に生きられる」ということを、自分自身に信じさせてあげましょう。
信じてみる

「どうせ」と言う言葉は、基本的にあまり良くない言葉です。
素直でいられない人は、「どうせ、素直では生きていけない」と思い込んではいませんか?
そこで素直になるために、「どうせ」の後に肯定的な言葉を付けてみましょう。
例えば、「どうせ、素直でも問題ない」や「どうせ、素直でも大丈夫」などです。
結果にこだわりすぎない

人生、上手くいかないときはあるものです。
それは、素直になった所で変わりません。
そもそも、なぜ素直になろうとしているのでしょう。
素直さが、そのまま「幸せ」に繋がるからでしょうか。
違いますよね。
自分の悪いところや良い所、その他様々な側面に目を向けるため、素直になろうとしているのです。
やりたいことをする、やめたいことをしない

ひねくれていては、人間関係に支障をきたしてしまいます。
感謝したときはその気持ちを、嬉しいときにも喜びの気持ちを、相手に伝えることは重要です。
それと同じように、自分が何をしたくて、何をしたくないかという気持ちを大事にしましょう。
自分で、自分の足を止めてしまうことは止めましょう。
また、他人の目を気にしなくても良いのです。
失敗しても良いのです。
確かに挑戦した、という事実が重要なのです。
まずは自分に素直になることで、対人関係でも素直になることができるでしょう。
まとめ

「素直さ」について考えてきました。
どこかにピンとくるものがあったでしょうか。
素直でいられず悩んでいるならば、過去の自分に目を向けてみましょう。
その中で、「素直ではない」生き方を選んだ自分を、再認識していきましょう。
自分の記憶や素直にならないデメリットを考えていくと、素直でいられない原因が見えてきます。
それらを水で流したり、素直でいるよう行動に移したりすることで、少しずつ本当の素直さを手に入れていくことができます。
多少、躓いても構いません。
本来の自分が持つ「素直さ」を、信じてあげることが重要なのです。