皆さんは、人から怒られた経験はありますか?
これまでの人生で、1度も怒られたことのない人はほぼ皆無に等しいと思います。
そして、怒られるのが好きな人も滅多にいませんよね。
誰でも人から怒られるのは、嫌だし怖いものです。
自分に至らないところがあったり、常識はずれな行為をしてしまったときに怒られるのは当たり前で、何も不思議なことはありません。
でも、中には怒られることを過剰に恐れ、ときには精神をも病んでしまう人がいるのです。
そのような人は、なぜ極度な恐怖を抱くのでしょうか。
ここでは、怒られることが極度に怖い人の心理を分析し、脱却のための方法について考えていきたいと思います。
Contents
怒られることが怖い…その心理や特徴は?

まず初めに、怒りに対して極度な恐怖を抱く人の心理や特徴みてみましょう。
主に、以下の4つが挙げられます。
- 人からの評価が気になる
- 自分は見捨てられたと思ってしまう
- 人格や存在を否定されたと感じる
- 相手と向き合うことを拒否する
これらを1つ1つ解説していきます。
人からの評価が異常に気になる

怒られることが怖い人は、人の自分に対する評価を過剰に気にしてしまう傾向にあります。
人からどのように見られていて、いつ怒られてしまうのか…
何もしていないのに怒られるかもしれないと、常にビクビクしながら日々を過ごしてしまいます。
身の回りの人たちだけでなく、ときにはただすれ違うだけの人までも恐怖の対象になってしまうので、日常生活がとても苦痛に感じるのです。
自分は見捨てられたと感じてしまう

怒られることが怖い人は、怒られた際、自分はこの人から見捨てられてしまったんだと思ってしまうことがあります。
どのような理由で怒られたのかは関係なく、怒られることは見捨てられることと認識してしまっているのです。
見捨てられたくないために、怒られるのが怖いのです。
人格や存在を否定されたと感じる

人から怒られると、自分の人格、さらには存在までも否定されたと感じてしまうことがあります。
たとえば、社会的ルールを無視したり、非常識な行動をとってしまったとします。
それを見咎めた人から怒られたとき、自分の行為をかえりみるのではなく、自分の人格や存在そのものを否定されたと捉えてしまうのです。
相手と向き合うことを拒絶する

先にも述べましたが、怒られることが怖い人は、怒られることは傷つくこと、見捨てられること、人格を否定されることと認識しています。
そのため、怒る相手と向き合うことを拒否してしまうのです。
なぜ相手が怒っているのか、なぜ自分は怒られているのか…その理由を考えることなく、ただ怒られたくない一心で逃げてしまいます。
さらに、相手からの怒りを回避するため、ときには嘘をついてその場を乗り切ろうとします。
これも逃げることと同様で、相手と向き合うことを拒否しているのです。
怒られることが怖い…原因とは?

怒られることに対して極度の恐怖を抱く原因は、一体何なのでしょうか?
それは、幼少期の経験が大きく関係していると考えられます。
自分と親との関係性や家庭環境などが要因となり、自分自身を守るために恐怖を抱いてしまうのです。
幼少期、自分の父親や母親、祖父母や親せきなどから、ほとんどの人が怒られた経験がありますよね。
ただ、その怒られ方が通常の子を叱る程度のものではなく、ダメな子どもだと評価をされたり、人格を否定するような言葉を浴びせられたり、理不尽なことで怒鳴られたり、さらにはひどい暴力を受けたり。
そのような家庭環境の中で育つと、次第に怒られることはダメだと評価されること、見捨てられること、人格を否定されることだと捉えるようになります。
子どもにとって、特に親の存在はとても大きなものです。
- 大好きな親に認めてもらいたい
- 見捨てられたくない
- 否定されたくない…
そんな気持ちを抱きながら、成長してしまうのです。
幼少期に抱いた辛い記憶は、大人になってもトラウマとして心に残ります。
そのため、親以外の人から怒られても、認められない、見捨てられてしまう、否定されてしまうという気持ちになり、怒られることを回避するため、逃げたり必死で嘘をついたりしてしまいます。
つまり、逃げたり嘘をついたりして怒る相手と向き合わないことは、もはやその人にとっての自己防衛策なのです。
幼少期から蓄積された、怒られることに対する恐怖心は、他人からは想像を絶するほど大きなものへと成長しています。
そのため、これ以上傷つかないために逃げたり嘘をついたり、ときには人と接することを意識的に避けるようになります。
怒られることに対して抱く恐怖は、自分の心を守るためのいわゆる防御壁なのです。
人はなぜ怒る?怒りの原因とは?

怒られることに対して過剰に恐怖を感じると、ときには日常生活にまで支障をきたしてしまいます。
その過剰な恐怖から脱却するには、まずは怒りのメカニズムを理解することが大切です。
人はなぜ怒るのか、それは次のような場合が考えられます。
- 自分を受け入れてもらえかったとき
- 悲しいから怒る
自分を受け入れてもらえなかったとき

例えば、自分の思いを相手に伝えたのに相手は応えてくれなかったら、自分は相手から受け入れてもらえかったと感じます。
その際、多くの人が怒りの感情を抱くのです。
自分は相手のことを大切に思っていたのに、信じていたのに、相手には拒否された、裏切られた。そのようなときも、やはり怒りが沸き上がります。
つまり人が怒りを抱くのは、自分の気持ちが相手の気持ちと相容れなかったときに生じるものなのです。
悲しいから怒る

「怒り」の本当の感情は、実は「悲しい」です。
怒りというのは、表面的な感情です。
自分を受け入れてもらえなくて怒るのは、受け入れてもらえなくて悲しいから。
大切に思っていたのに拒否された、信じていたのに裏切られた、それらの怒りは、すべて悲しみからくるものです。
人を傷つけるために怒るのではなく、自分が受け入れてもらえなくて悲しいから、傷ついて悲しいから…
根底にある悲しい感情を表すために、怒りとして表現されるのです。
怒られることが怖い…克服法とは?

人から怒られると、誰でも少なからず怖いと感じます。
でも、それが過剰な恐怖心となって現れるのは、本人にとってもマイナスです。
なかには怒られないために、人との接触を避けることも。
そうなると、日常生活にまで支障をきたしてしまいます。
怒られることに対する恐怖心から脱却するために、ここからはその克服法をご紹介したいと思います。
もちろん、今すぐ改善させなければと思う必要はありません。
少しずつゆっくりと、恐怖心からの克服を目指しましょう。
自分自身を慰めてあげる

怒られることが過剰に怖いと感じる人は、幼少期に親などから理不尽な怒られ方をして、怒られることがトラウマになっていることが一因であると考えられます。
それは自分では避けられるものではなく、ほとんどの人がどうにもできずに心に深い傷を負います。
そんな怖い経験をした自分を、自身で慰めてあげることが大切です。
怖い思いをして傷つけられた自分に「怖かったね」と、それでも頑張って耐えた自分に「頑張ったね」という言葉を送ってください。
そして、怒られることへの恐怖心から逃げたり嘘をついてしまったことも、責めるのではなくすべて受け止めて、そして許してあげましょう。
怒る

怒りは、人として当たり前の感情です。
でも、怒られることが怖い人は、自分の中で怒りの感情が沸き起こっても、それを表現することが実は苦手なのです。
怒りを心にとどめたまま蓄積させてしまうと、負のエネルギーが増大して、やがて恐怖心へと変わったり、自分や他人を傷つける行為につながることにもなります。
怒りが表現できないのは、怒りという感情を理解できていないから。
それを克服するためには、自分の怒りを表現すること。
言いたくても言えなかった気持ちを心の底から吐き出してみましょう。
方法としては、誰もいない部屋の中で自分の気持ちをつぶやいてみたり、難しければノートなどに書き出したりしてみましょう。
初めは難しく感じたり戸惑うこともあるかもしれませんが、怒りを表現することで、自分自身と向き合えたり、気づかなかった心の内の発見にもつながるのです。
自分の存在を肯定してあげる

怒られたことで、自分の人格やときには存在まで否定されたと感じることがあります。
中には、こんなに怒られる自分はこの世に不必要な人間なのではないか、と思う人もいるでしょう。
でも、相手は人格や存在を否定するために怒っているのではありません。
そして、怒られても自分の存在がなくなるわけでないのです。
至らない点をしっかり怒ってくれる人は、むしろ自分の存在を肯定してくれている人です。
もちろん、一方的に責め立てて暴言を吐くだけの人からは、あまり良い影響は感じられないと思います。
不必要な人間に対し、しっかり怒ってくれる人は誰もいません。
怒られるのは存在を認められているからと、思いを転換してみましょう。
そして、自分は不要な人間ではなく、愛されても良い存在なのだと言い聞かせてあげましょう。
怒られて苦しくなったり辛くなったりするのは仕方のないことで、それは誰にでも当てはまります。
それでも思いを転換し、何度も何度も言い聞かせることで、怒られることに対する恐怖は少しずつ改善されていくはずです。
怒りのイメージを変換

怒られることは怖いこと、とマイナスの面だけで結論づけてしまうと、嫌な部分しか見ることができずに恐怖心が沸き上がります。
でも、怒られることは自分にとってプラスの面もあるのだとイメージを変換して、少しずつ良い部分を探ってみてください。
怒られることで自分の至らなかった点に気づき、結果として自身の成長にもつながるかもしれません。
そして、怒られた行為を改善することで、怒られる回数が減ったりもします。
怒られることは、自分を見つめ直すチャンスであること。
そう思うことで、次第に恐怖心も和らいでいくはずです。
また、自分が怒ることで、自分の中に負のエネルギーを発散し、心が軽くなったりもします。
気持ちが表面化し、自分自身と向き合うきっかけにもなるのです。
もちろん自分のできる範囲で十分ですので、少しずつでも怒りに対してプラスの面を探してみてください。
その結果、怒りに対する過度の恐怖も落ち着いていくことでしょう。
まとめ

怒られることが極度に怖い人の心理と克服法をご紹介しました。
怒られることは、見捨てられることでも人格や存在を否定されることでもありません。
自分は不要な人間なのだと思う必要もないのです。
怒りに対する過度の恐怖は、幼少期の経験が大きく関係していることがほとんどです。
それは、自分ではどうしようもないこと。
なので、怒りから逃げてしまう自分を責める必要などありません。
幼い頃に辛い経験をした自分自身を、慰めてあげましょう。
そして、怒られることから逃げたり嘘をついてしまった自分を、許してあげてください。
ときには怒りを表現することで、怒りというものを理解しましょう。
怒られても、自分の存在そのものが否定されるのではありません。
不要な人間ではなく愛されても良い存在なのだと、自分に言ってあげましょう。
誰しも人は、失敗したり間違ったりしてしまうものです。
そして、どうでも良い存在ではないからこそ、人は怒るのです。
失敗や間違いを怒ってくれることで、自分の至らなさを改善したり、ひいては自分自身を見つめ直すきっかけにもつながります。
怒りはマイナス面だけではなく、プラスの面もあるということ。
怒りの感情の根底には、受け入れてもらいたい気持ちや悲しみがあるのです。
イメージを変換することで、恐怖心だけではなく、人と分かり合えたり自身の成長につながることが生まれると考えてみましょう。